米紙サイト有料化大コケ? 日経「電子新聞」不安な門出(J-CASTニュース)

 世界的に新聞社の業績が「右肩下がり」の状態が続く中、米国ではウェブサイトの有料化で収入源を得ようとする新聞社も現れた。ところが、各紙とも「連戦連敗」が確実な情勢だ。国内でも複数の新聞社が有料の「電子新聞」創刊を表明しているが、「購読料が割高だ」との声もあがっている。日米とも「厳しい船出」ということになりそうだ。

 新聞業界での経営危機が日本より深刻だとされる米国では、落ち込みが続く販売・広告以外の収入源を求める取り組みでも、日本の一歩先を行っている。

■サービスに加入したのは3か月でわずか35人

 例えば、米ニューヨークを拠点にする日刊紙「ニュースデイ」は、2009年10月28日、ウェブサイトの有料化に踏み切った。紙媒体の購読者と傘下のケーブルテレビ加入者は引き続き読めるが、それ以外の読者は週に5ドル(450円)または年に260ドル(23400円)の購読料が必要だ。ところが、米ニューヨーク・オブザーバーが10年1月26日に報じたところによると、ここ3か月でサービスに加入したのは、わずか35人。ニュースデイでは

  「(同紙の販売対象エリアである)ロングアイランド住民の75%は、(サイトに無料でアクセスする権利がある)紙媒体の購読者かケーブルテレビの加入者だ」

と、ウェブサイトの利用はあまり低下しないとの見方を示しているものの、ウェブサイトへのアクセスは激減。ニールセン・メディア・オンラインの調べによると、有料化直前の09年10月には220万あったアクセスが、有料化後の09年12月には、150万にまで減少。これとあわせて、広告も減少したという。

 なお、有料化にあたって、ウェブサイトのリニューアルに400万ドル(3億6000万円)が投じられたという。有料化で購読者数がほとんど増えなかったことからすると、有料化は現段階では「大コケ」ということになりそうだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙も、07年に一度取りやめていた記事への課金を11年に再開する方針を明らかにしているが、こちらにも暗雲がたちこめている。ニールセン・オンラインの調べによると、09年12月の同紙ウェブサイトのユニークユーザー数は1484万9000人で、前年同期比で18.4%も落ち込みを見せている。同サイトは、一定のアクセス数を超えた利用者に対して課金されることになっており、具体的な料金はまだ発表されていないが、有料化が大幅に利用者を減らし、当て込んでいた課金収入も少なくなるリスクをはらんでいることは間違いない。

■「デイリースポーツ」電子版2月1日に創刊

 そんな中、国内でも、続々と「有料電子新聞」の創刊が計画されている。スポーツ紙「デイリースポーツ」(神戸市)は、紙媒体の内容をそのままPC上で読める「デイリー電子版」を2月1日に創刊。全国のタイガースファン向けに訴求したい考えで、月額1980円だ。

 一方、日経新聞は「電子版(Web刊)」を10年春に創刊する。PCとケータイの両方からアクセスでき、「My日経」と呼ばれるカスタマイズ機能も備えた。購読料はまた発表されていないが、電子版だけを契約すると月額4000円で、月額4300円の紙媒体とあわせて契約した場合、「紙媒体プラス1000円」で電子版も読めるになるものとみられている。

 日経新聞は09年決算(単体ベース)では売上高が前年比9.6%減の約1790億円で、約60億円の営業赤字を計上してもおり、「後に引けない状況」。だが、前出の米媒体よりも価格設定に割高感があるのは否めず、経営面で成功するのは至難の業と予測されている。


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